こんばんは。World Music Barへようこそ。
今夜もどうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
最近私はベースの練習の他に、かつて通っていたピアノの先生から頂いた「楽典」を読み返しています。
「楽典」は、音楽理論や知識をまとめた教科書で、いわゆる音楽を知るにあたり必要な「音楽文法」のようなものです。
幼い頃は難しい字がたくさんあって、なかなか読み込むことが出来なかったのですが、今改めて読み返すとBassの練習にも活かされることがたくさんあります。
ピアノの鍵盤と音をある程度記憶していたので、コードや一定のルールのようなものは覚えやすいのですが、Bassの場合、ピアノの左手が主に担う役割、つまり伴奏(裏音のような)のような音を取るので、コード理論の取得はとても有意義です。
ちょっぴり硬いお話になってしまいました。
さて今夜は、最近練習した曲の中から一曲、改めて素敵な曲だなぁと感じたナンバーをご紹介します。
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マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye) & タミー・テレル(Tammi Terrell) の「Ain’t No Mountain High Enough」です。
たくさんのアーティストにカバーされているこの曲は、多くの方に愛されている名曲です。
私はやはり、この二人のオリジナルが最も好きです。
1967年8月に発売された二人のスタジオアルバムの前に先行発売されたこのシングルはアメリカのビルボードチャートで19位、R&Bチャートで3位を獲得しました。
タミーの愛らしいキャラクターと歌唱力は、この曲が発表された1967年初めにマーヴィン・ゲイのパートナーとして選ばれたことで一躍世界へ知られることになりました。
”どんな困難があろうとも、必ず僕は君を守る”という強い愛を歌ったこのラブ・ソングは、様々な映画やメディアでも使用されました。
タミーとレコーディングをするまで、彼女の実力を知らなかったマーヴィン・ゲイ。
実力はもとより、彼女のパフォーマンス動画や写真からも感じ取れるように、ひまわりのような太陽のような明るさを放っていました。
そんな彼女の存在は、元来ステージ恐怖症であったというマーヴィン・ゲイにとって、新しい光のような存在でした。
繊細な彼を理解した上で、タミーは二人でステージ・パフォーマンスを行うことを促し、やがてライブ活動を行っていたのです。
歌う喜び、マーヴィンへの感謝の気持ちを、ステージで伝えたいと思ったのではないのでしょうか。
しかし、同年10月にタミーの病状が悪化、懸命に病と闘いながらも、1970年に僅か24歳という若さで帰らぬ人となりました。
実に若すぎる彼女の死は、マーヴィン・ゲイのその後の人生へ大きく影響する出来事となったのです。
しかし、マーヴィン・ゲイは戦地から戻った実弟との再会を機に再び音楽へ向き合う決意をし、1971年に名曲「What’s Going On」を発表します。
そして、世界的なスターとして更なる飛躍を遂げていったのです。
マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」の歌詞にこのようなフレーズがあります。
There’s too many of you crying(泣いている人が多すぎる)
There’s far too many of you dying(死ぬ人が多すぎる)
You see, war is not the answer(わかるよね 戦争は答えではない)
You know we’ve got to find a way(見つけなければならないことはわかっている)
For only love can conquer hate(愛だけが憎しみを乗り越えることができるんだ)
この曲は、タミーの死に対するマーヴィンの気持ちを歌ったものであるとも言われています。
人生において、出会いとはどのくらいあるのでしょうか。
何人と出会い、いくつの物事を知り、いくつの場所を訪ずれてゆくのでしょうか。
その時幸せだったことも、苦しかったことも、私は全て意味を持ち繋がっている気がします。
でも、大切な人を失った悲しみは、乗り越えるための行動や助けを得ることは出来ても、永遠に消えることではありません。
大切なのは、その後の人生をどう生きてゆくか、己の決断や経験を受け入れて丁寧に生きることだと思います。
私も、毎日新しく得る知識や出会い、経験を大切に積み重ねてゆこうと思う今日この頃です。
本日もご来店いただきましてありがとうございました。おやすみなさい。
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