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【毎週土曜21時放送中】
ーようこそ、World Music Barへ。ー
こんばんは。今夜も当店へお越しくださり、ありがとうございます。
日が暮れ、街が静けさを帯びる頃、ふと耳に届いた音楽が心に灯をともすことがあります。
そんな瞬間に出会えた夜は、少しだけ特別な気配を纏っている気がします。
最近、雨上がりの窓辺で聴いた一曲が、私に“夜の東京”を思い出させてくれました。
煌めく街の灯りや、ゆっくりと流れる時間。
そのすべてが、音に包まれながら穏やかに揺れていたのです。
今夜は、その余韻に身をゆだねてみたいと思います。
どうぞ、最後までゆっくりとお付き合いください。
1. Shakatak ― UK発 Urban Sound
Shakatakは英国を拠点に活動するフュージョン・バンドで、メンバーは以下の通りです:
- Bill Sharpe(Keyboards, Piano)
- Roger Odell(Drums)
- George Anderson(Bass)
- Jill Saward(Vocal/Percussion/Flute)
彼らの音楽は現代において稀有な存在です。1980年の結成以来、40年以上にわたり活動を続け、ヒットチャートとライブシーンの両方で確かな足跡を残してきました。
Jazz Funkを基盤にしながらも、Soul、Dannce、Smooth Jazzなどを自在に融合させた独自のスタイルをもつ洗練されたGrooveと都会的な響きは、時代を超えて多くのリスナーを魅了し続けています。
UKでは、ShakatakはFusion Bandとしての“純粋な”音楽性をもつミュージシャンとしての評価と、“カルト的な人気”を併せ持つバンドとして知られています。
彼らの音楽性は、あらゆる世代のファン層に支持されながらも、どこかUnder Groundな雰囲気を漂わせており、その“Paradox”こそがShakatakの魅力のひとつです。
1982年の「Night Birds」や「Invitations」、1984年の「Down On The Street」など、UKヒットチャート入りを果たした楽曲は、今もポピュラー音楽のスタンダードとして語り継がれています。
また、アメリカの偉大なるJazzヴォーカリストであるAl Jarreauとの共演による「Day By Day」(1985)や、ドイツでは「Watchin’ You」(1984)、オランダでは「City Rhythm」(1985)など、ヨーロッパ各地でも高い評価を獲得しました。
Live Actでは、彼らのステージは洗練された演奏テクニックと楽しさが共存するものとして、世界中の観客に強く支持されています。日本では、東京音楽祭で銀賞を受賞し、Instrumental Albumとして3年連続で「ベスト・アルバム賞」を獲得。武道館での公演をはじめ、Shakatakのサウンドは日本の”都市空間”にも深く浸透しています。
一時的な活動休止を経て、現在はオリジナルメンバー4人に加えた新編成でライブ活動を継続中。スロバキア、南アフリカ、日本、タイ、マレーシアなど、国際的なジャズフェスティバルにも出演し、“Urban Sound”の象徴として今も世界を舞台に活躍を続けています。

2.Nights Over Tokyo ― 都市の肖像
今夜ご紹介するナンバーは、Shakatakが1989年にリリースしたアルバム『Niteflite』からの一曲、「Nights Over Tokyo」です。
この曲は、タイトルが示すとおり、東京をテーマにしたナンバーですが、Shakatakの”Tokyo”への敬意と憧れを込めて制作された楽曲です。
彼らは日本でのヒットに深く感激し、その感謝の気持ちを音楽で表現したいと考えていました。
東京が持つ洗練された雰囲気、夜の静けさ、そして遠くから眺めたような美しさ――
そうした印象を、彼らのUrban Grooveに乗せて描いたのがこの作品です。
タイトルに明確に“Tokyo”が冠されていることで、この楽曲が描いているのは紛れもなく東京という大都会です。
歌詞の中にも “Nights Over Tokyo” というフレーズが繰り返し登場し、都市の夜に満ちる感情や風景が、静かに情緒的に描かれています。
“Slowly fills the heart of one girl on nights over Tokyo”
柔らかなメロディと浮遊感のあるアレンジは、遠くから眺めた東京の夜の風景を思わせます。駅のホームに響く電子音、高層ビルの谷間に潜む静けさ、街灯の下に流れるメロディの残響。こうした都市の断片が、サウンドの中にそっと差し込まれているように感じられます。
Shakatakの視線は、東京に暮らす者ではなく、旅人のように少し距離を置いて都会を見つめているようです。その視点が生み出す匿名性と音楽的な親密さは、都市の肖像としての「Nights Over Tokyo」に独自の立体感を与えています。
この楽曲には、都会が持つ静けさや孤独、洗練された雰囲気が繊細に織り込まれています。Shakatakのサウンドは、言葉以上に都会を描く力を持っており、「Nights Over Tokyo」はまさに音による肖像画のように、今も東京の夜を印象深く描き出しています。
“そのひとつの心に そっとしずかに降りてくる 東京の夜”

3. Shakatak On Stage ― Urban Vibes in Japan
Shakatakのライブは、録音音源とは異なるエネルギーと一体感に満ちています。
洗練されたテクニックを軽やかに披露しながら、ステージ上では常に遊び心とスイング感が息づいており、日本の観客との間に生まれる一体感は特別なものです。
彼らの日本でのライブは1980年代から続いており、東京・大阪・名古屋などの都市で数々のステージを重ねてきました。なかでも1987年に行われた東京・日本武道館での公演は象徴的なものでした。また、国際的な音楽イベントである東京音楽祭の世界大会で銀賞を受賞したことも、Shakatakと日本との深い関係性を物語っています。
近年では、Billboard Liveでの来日公演が恒例となっており、
2025年5月には東京・横浜・大阪の各会場で結成45周年記念ライブが開催されました。このツアーは、JVCレコードより発売された2枚組コンピレーションアルバムとの連動企画でもあり、Billboardの洗練された空間で、Shakatakのアーバン・グルーヴがより深く響き渡る夜となりました。
世界中で活動する彼らのライブ会場はホール、ジャズクラブ、フェスティバルまで多岐に渡り、それぞれの空間にShakatakらしいUrban Vibesが染み渡っています。照明が落ちるその瞬間、ピアノのイントロとともに都市の夜が始まり、観客は音に包まれながら、都会に訪れる夜の静けさと特別な時間につつまれるのです。
実は私も長年のShakatakファンです。私の音楽の原点のひとつには、Shakatakの音楽があり、Bill Sharpe(Key.)とGeorge Anderson(B.)の作品性や奏法は、私が目標とするアーティストでもあります。そのような理由もあり、Billboard Live Tokyoへはある時期毎年通い、最前列真ん中で聴かせていただいていました。
「Down on the Street」の一節を一緒に歌わせていただいたことはずっと忘れられない想い出です。
4. おわりに ― ほどけゆく余韻
いかがでしたか。
東京の夜に響くShakatakの音をたどる旅は、少しUrbanな空気をまといながら、静かに心に染み込んでいったように思います。
都会の夜を、あなたはどう感じるでしょうか。
大きな世界の中でただ一人でいる自分を、孤独だと感じるのでしょうか。
あるいは大都会に淡い期待と魅惑を感じて、光のなかに一歩踏み出してみたくなる夜もあるかもしれません。
今夜は、音楽とともに心がほどけてゆく余韻を感じてください。
そして都会の夜の静けさが、少しだけやさしく響いているなら、Shakatakの音は今夜もあなたにそっと寄り添っているはずです。
次回もまた、お客様を素敵な音の空間でお待ちしております。
Shakatakの音のしずくが、今夜 あなたの心を そっと潤しますように。
On nights over Tokyo.

静かな夜のひととき、今夜また、音のそばで。
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