こんばんは。World Music Barへようこそ。
5月の連休明け、徐々に季節の盛り上がりを見せる頃でもあります。
あるデータインサイトによると、一年の中で春から夏にかけては様々なジャンルのアーティストがアルバムをリリースするそうです。
年の半ばに向かう数ヶ月間は、夏のヒットによって人気が加速するための”大ヒット・アルバム”をリリースするための重要な時期なのだそうです。
今年はどんな作品がリリースされるか、今からとても楽しみですね。
さて今夜は、私が素敵だなぁとずっと思ってきたVocalistのナンバーをご紹介します。
今年デビュー40周年を迎えられる森口博子さんのデビュー曲「水の星へ愛をこめて」(1985)です。
この曲はアニメの主題歌として有名ですが、今回はこの曲の歌詞について考察してみたいと思います。
1985年8月7日にキングレコードから発売され、森口博子さんの歌手人生のスタートを飾ったこの曲は、ニール・セダカ(Neil Sedaka)の未発表曲「For Us to Decide」をベースに、日本語詞を加えて完成した楽曲として知られています。
美しく心に響くメロディと哲学的な歌詞が特徴で、宇宙や生命のテーマを感じさせる内容になっています。
そして、森口博子さんの透明感ある歌声が、楽曲の世界観をより際立たせています。
「水の星へ愛をこめて」の歌詞は、単なるアニメソングの枠を超えた作品と言えるでしょう。
特に、宇宙・生命・愛といった普遍的な概念を詩的に表現している点が特徴的です。
2024年9月の文春オンラインに掲載された森口博子さんのインタビューで、歌詞についてこのように話されています。
「時間(とき)という金色のさざ波は宇宙(おおぞら)の唇に生まれた吐息ね」※
という壮大で美しい世界に失神しそうな程、心が震えました。
天地創造の世界だと。
私なりに感じられるようにやっとなってきた。
本当に深い歌詞なので、歳を重ねるごとに深まっていきます。
このフレーズ※は、時間と宇宙の関係を示しているように思えます。
時間がまるで宇宙の呼吸のように描かれています。
時間は人間が認識するものですが、宇宙の視点から見ると、それはただの一瞬の流れに過ぎないという壮大な視点が感じられます。
そして、この曲の歌詞は「愛」と「孤独」が対比的に描かれている点も特徴です。
歌詞の中で「もう泣かないで いまあなたを探してる人がいるから」という言葉は以下のように続きます。
- 「もう泣かないで」→ 孤独や悲しみを抱えている存在への”優しさ”
- 「いまあなたを探してる人がいるから」→ どこかで誰かがあなたを求めているという”希望”
- 「お前に会いたいよと」 → 具体的な「誰か」が、強い想いを持ってあなたを求めている”つながり”
”あなた”から”お前”という言葉を最後に使ったこの表現は、私が最も好きなフレーズです。
”あなた”よりも直接的で、より強い感情によって、”心の距離はとても近い”という気持ちが伝わるのです。
このフレーズが楽曲の最後に配置されていることで、楽曲全体のテーマが「愛の呼びかけ」として締めくくられている気がします。
とても印象的ですね。
長い間続くアニメシリーズである”ガンダムシリーズ”の主題歌となったこの曲。
当時のストーリー展開と重ね合わせてみますと、発売された頃はオリジナルの『機動戦士ガンダム』(1979年)から大きく進化し、『機動戦士Ζガンダム』が放送され始めた直後の段階にありました。
空想上での果てしない戦いのストーリーから、人間ドラマや政治的な裏側が描かれるようになり、シリーズとしての成熟と深みが加わった転換期でした。
その意味でも、この「水の星へ愛をこめて」は、物語の時代背景の変化や、新たな感性を象徴する楽曲として、ガンダムファンの心に強い印象を与えたのではないでしょうか。
それでは、お聴きください。
タイトルの「水の星」という表現は、地球の特徴を詩的に表現したものと考えられます。
地球は約70%が水に覆われた惑星であり、宇宙から見ると青く輝いている特徴からも、「水の星」という呼び名がふさわしいのではないでしょうか。
この楽曲の歌詞では、地球の美しさと儚さ、そしてそこに生きる人々の感情が繊細に描かれているとともに、宇宙的な視点では、時間や距離を超えた「つながり」への願いとしても解釈できます。
そして、森口博子さんの変わらない透明感溢れる声が、この楽曲により一層の輝きを与えているのです。
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余談になりますが、私はかつて森口博子さんの所属しているキングレコードの近くに住んでいたことがあります。
会社のEntranceにアーティストの作品がDisplayされていて、森口博子さんのジャケットを見る度にとても嬉しかったことを覚えています。
また、近くにあるキングレコードのスタジオでFMの生ライブも行っていた日もあり、こちらもラジオを生放送で聴きながらワクワクしていました。
いつもキラキラている森口博子さん。
歌を心から愛し、生業(なりわい)とされている喜びや幸せを感じさせてくれる同時に、日々とても努力されていることと思います。
どんなときも笑顔を絶やさない彼女の姿に、いつもたくさんの人々が元気をもらっているはずです。
私も、これからもずっと応援させていただきます。
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今夜も、ご来店いただきましてありがとうございました。
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