こんばんは。World Music Barへようこそ。
長いと思っていた連休も間もなく終わりますね。心休み、出来ましたか?
今夜は、心地の良いSoul Musicと共に、独自の音楽論を展開してまいりたいと思います。
極上の空間と共に、お付き合いくださいませ。
今夜のテーマは”Organic Soul”。
音楽業界で広く使われている一般的なジャンル名ではありませんが、音楽の質感やスタイルを表現する際に使われることがあります。
特に、「自然な響き」「生楽器の温かみ」「洗練されたグルーヴ」 を持つ音楽を説明する際に、”Organic” という言葉が用いられることがあるようです。
例えば、音楽業界では “Earthy and Organic” というキーワードが、フォークやアメリカーナ、シンガーソングライター系の音楽を説明する際に使われることがあります。
また、作曲家の間では、「構造に縛られず、自然な流れを持つ音楽」 を “Organic” と表現することもあるようです。
それでは、この”Organic Soul”というジャンルがフィットするナンバーと共により掘り下げた分析と考察をしてみましょう。
今夜は、アメリカ・フィラデルフィアで結成されたR&B・Soul・Funkバンドの曲から。
メイズ(Maze)または、メイズ・フィーチャリング・フランキー・ビヴァリー(Maze Featuring Frankie Beverly)の1983年のスタジオアルバム「We Are One」からのTitle Single『We Are One』です。
US R&Bチャートで5位を記録した大ヒットナンバーです。
このアルバムが発売された当時、メンバーはまさに”Golden Member”と呼ばれるほど素晴らしいアーティストが集結していました。
Vocalのフランキー・ビヴァリー(Frankie Beverly)(本名:Howard Stanley Beverly)は、アメリカのR&B・ソウルミュージシャンであり、バンドの創設者兼Lead Vocalistとして知られています。
そして、Bassistのロビン・ドゥー(Robin Duhe)は、幼い頃に母親からもらった”Guitar”をかき鳴らしていたところ、のちにそれがBass Guitarであると知り、この時の経験が彼のキャリアを決定づけたのでした。
大病を乗り越えた現在、彼は「自分自身を前向きにとらえ、自分自身を上手にコントロールし、人生を正しい方向へと導いている」と語っています。
現在は、自身のレーベルBlaise Two Recordsを立ち上げ、新しいアーティストの発掘に取り組んでいます。
Lead Guitarのロン・スミス(Ron Smith)は、洗練されたサウンドを支える重要な存在でした。
特に滑らかなリズムギターのプレイスタイルが特徴です。
Mazeの黄金期に活躍し、バンドの代表曲の多くで演奏を担当しました。
彼のギターは、Mazeの音楽において”派手なもの”ではなく、楽曲全体のグルーヴを支える役割 を果たしていました。
このアルバムは、The Automatt Recording Studios(サンフランシスコ) で録音され、Fantasy Studios(バークレー) でミックスされました。
プロデュースはFrankie Beverly自身が担当し、彼の音楽的Visionが色濃く反映されています。
まず始めに、休日の夜に相応しいこのluxuryなナンバーをお聴きください。
ここからは、『We Are One』と”Organic Soul” の音楽的特徴をまとめてみます。
ナチュラルなグルーヴ
Mazeの音楽は、過度なプロダクションや派手なエフェクトを避け、生楽器とシンプルなアレンジが特徴です。
これによりボーカリストや曲の感情的な本質部分をより強く引き出します。
Drums、Bass、Guitar、Keyboardsが自然に絡み合うことで、Smoothな流れを生み出しています。
洗練されたコードワーク
非常にシンプルながら奥行きのあるこの曲はG Minorです。
G Minorの楽曲には、独特の深みと情緒があります。
一般的に、Minor Keyの曲はより感傷的な雰囲気を持つ傾向がありますが、G Minorは特にドラマティックで力強い響きが特徴です。
そして、G, Bb, D 音がメインで構成されており、特にBassラインやコードの響きに重厚感が生まれます。
これが、楽曲に奥行きを与え、情熱的なサウンドを作り出します。
感情を包み込むボーカル
Frankie Beverlyのボーカルは、柔らかくも力強い語りかけを持っており、リスナーの心に直接響きます。
彼の歌声は、テクニックよりも「心のこもった表現」に重点を置いており、まさにOrganic Soulの核となる要素です。
そして、彼のステージ衣装は、常にAll Whiteのカジュアルウェアで知られていることも、このバンドがOrganic SoundのConcept Creatorであることも特筆出来るかと思います。
バンド全体の調和
Mazeの音楽は、個々のプレイヤーが目立つのではなく、全体のアンサンブルが重要視されています。
それぞれの楽器が互いに支え合い、一つの大きなグルーヴを作り出しているため、「個々」ではなく「調和」が際立つのです。
そして、”Organic Soul”を奏でるMazeの音楽が生み出す調和とメッセージ性について考察します。
時を超える普遍性
Mazeの音楽は流行に左右されず、どの時代においても心に響くメッセージを持っています。
愛、団結、人生の美しさといったテーマは、世代を超えて共鳴するものです。
ライブで生まれる一体感
Mazeのコンサートでは、ファンが白い服を着るという伝統があり、それが「音楽と人がつながる」象徴にもなっています。観客とバンドが一つになる瞬間こそ、Organic Soulの真髄です。
シンプルでありながら深いメッセージ
“We Are One” のような楽曲は、難解な比喩を使わずに、直接心に語りかける歌詞を持っています。音楽的にも、余計な要素をそぎ落としながらも豊かな響きを持っているため、聴く人に素直に感情を伝えられるのが特徴です。
“We Are One” の歌詞に込められたメッセージは、団結と愛の力を讃えることにあります。
歌詞の中では、争いを乗り越えて人々が一つになることの大切さが強調されており、世界が分断されがちな状況においても、絆を深めることの価値を伝えています。
以下の問いかけは、非常に印象的です。
Can’t understand why we treat each other in this way
(なぜ私たちはこんなふうに互いに接してしまうのか理解できない)
Taking up time with the silly, silly games we play
(くだらない駆け引きばかりで、時間を無駄にしている)
そして、”We Are One”という答えこそ、人種や社会的な違いを超えて人々が一つになることの大切さ、最終的には愛によってつながることができる、というポジティブなメッセージが込められているのです。
これは、Maze featuring Frankie Beverlyが長年にわたって伝えてきたテーマでもあります。
彼らの楽曲には音楽的な調和と精神的な調和が深く結びついていることがわかります。
Mazeの音楽は単なるR&Bではなく、音楽と心を調和させる芸術作品なのです。
いかがでしたか?
今夜はHoliday Specialとして、一曲を深く深く掘り下げた考察をしてみました。
今後も、素晴らしい名曲を様々な角度から分析して、音楽を聴く角度を更に広げられればと思っております。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
素敵な夜をお過ごしください。
Wishing you a night filled with rhythm and harmony!
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