こんばんは。World Music Barへようこそ。
土曜日の夜～日曜日の特別な時間。どうぞごゆっくりお過ごしください。
今夜は、ある一人のArtistのキャリアと復活、そしてその復活を遂げた曲に込められた歌詞を読み解いてゆきたいと思います。
アメリカ出身の歌手・女優のCherが1996年に発売したシングル「One by One」です。
多方面でのキャリアと美しく大胆なヴィジュアルで知られるCherは、数々の功績を築いてきたアーティストです。
歌手としての彼女は、Contralto Voice（コントラルト・テノールより高い、女性の低い声）のパワフルな歌声を持ち、その美しさを称して”Goddess of Pop”（ポップスの女神）と呼ばれてきました。
この「One by One」は、Cherの波乱万丈の人生における新たな転換期に制作された作品でした。
1963年のデビュー以来、エンターテイメント界を駆け抜けたCherのキャリアは1980年代に最高潮に達していました。
やがて1990年代前半から体調不良に陥りキャリアが一時ストップしてしまいます。
その後、復活をかけて1996年に公開された映画”Faithful”に6年ぶりに主演したものの、興行成績は振るわない結果となりました。
ここで今後の人生を真剣に考えたCherは「キャリアを復活させたいのであれば、何かをする必要がある」という結論に達しました。
そして、全てを懸けて21枚目のAlbum「It’s a Man’s World」を発表します。
Albumは1995年にUKで、翌年にUSで発売されました。
当時彼女はこのようなコメントを残しています。
これは自分自身への挑戦、私自身の実験よ。
いつもレコードで聴いてきたようなサウンドにはしたくなかったの。
ちょっと飽きてきたから。
アルバムとシングル「One by One」は世界的な大ヒットを記録し、Cherは見事大復活を遂げたのです。
「One by One」については、”シェールがこれまでに録音した中で最も純粋なポップ・トラックの一つ”と評価され、多数のメディアにおいて素晴らしい評価をうけました。
「One by One」の歌詞は、人間関係の複雑さや愛の試練に焦点を当てており、感情的で深いテーマを提示しています。
そして、自分自身の心の葛藤とそれを乗り越える旅（人生と時間）を描いています。
Give up resisting one by one
One by one
このフレーズを直訳すると、”ひとつひとつ抵抗せずに諦めていく”という意味になります。
ここには、「完全に心を開くためには、徐々に少しずつ抵抗を捨てていく勇気が必要である」ということを意味しているように思えます。
「一つ一つ」と繰り返されることで、幾多の試練を乗り越えるプロセスと、その瞬間の自身の成長やリカバリーを表現しているのです。
人生や愛は一瞬で解決されるものではなく、時間をかけて築いてゆくものであり、尊いものであるということを教えてくれている気がします。
Cherはこの後も勢いが衰えることなく、1998年に22枚目となるAlbum「Believe」を発表します。
このAlbumからこれまでのPop ＆ Rock路線から、Dance Tuneへ方向転換しましたが、Title SingleとAlbumはともに世界中で大ヒットなりました。
「ポップスの女神」が更に輝きを増した、眩しいほどの瞬間でした。
私は、ライターの仕事を通して様々なアーティストの生きざまを勉強させて頂いていますが、今回の記事もとても心が動かされ、目頭が熱くなりました。
彼女が私たちAudienceの知らないところで、どれだけの困難を乗り越えてきたのかと思うと、物事の方向を決めるものは、最終的に自分自身の勇気と決断なのであると改めて感じました。
そしてその裏には、時には間違うことの恐れや、固執や執着心を捨てることが必要、ということもわかりました。
その行動こそ、自分自身への自信となり、プラスの方向が続いてゆくのだと考えています。
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少し、体力気力が必要な時、この曲を聴いてみてくださいね。
明日からの日々が、更に素晴らしい時間となりますように。応援しています。
本日もご来店いただきましてありがとうございました。
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