こんばんは。ご来店ありがとうございます。いかがお過ごしでしょうか?
今日私は、降りたことがない駅へ訪れ、歩いたことのない路地を歩き、素敵なカフェを見つけて、ゆっくりと時間を過ごしました。
もしその駅に降りなかったら、どんな一日になっていたのでしょうか。
今夜も、素敵な音楽でお客様の今日だけの特別なひとときをお届けします。
カセットテープやレコードがちょっとしたブームになっていますが、私もカセットテープをたくさん買って、テープが伸びてしまうまで聴いていました。
その頃、家族で夜のドライブに連れて行ってもらった時に叔父がくれたカセットテープからある一曲が流れました。井上陽水さんの『とまどうペリカン』という曲です。
私の父親が「彼は本当に歌が上手いよなぁ」と言っていたことがあります。
この曲は、井上陽水さんご本人の表現力でなければ完成されないと私は思います。
Introのピアノの旋律で一瞬に聴く者をその世界へ導きます。そして、都会の夜に灯る明かりから静寂への時間、その中で佇む主人公の迷い、とまどいがゆっくりと描かれます。
1サビ終わりの陽水さんの歌から2Aメロにかかるピアノソロへ入る瞬間がとても美しく、気持ちが揺さぶられます。聴く者の心に描かれる情景は、最後のOutroまで続いてゆくのです。
主人公は、最後まで答えが見つかりません。今夜も明日も、迷いこんだままです。想う相手の気持ちや、自分のたどり着く場所が今は何かわからなくても、少し不安でも、僅かな希望の中で何かを求めて彷徨いながら都会の夜へ消えてゆきます。
それでは、お聴きください。
音楽は己の気持ちや思い出と向き合わせてくれたり、その曲の舞台へ連れて行ってくれます。
井上陽水さんのもつ歌声と表現力、そして楽曲はそれを体感させてくれると私は思います。
今夜も閉店のお時間となりました。どうぞお気をつけてお帰りくださいませ。またのご来店をお待ちしております。