こんばんは。一週間ぶりの開店です。
お待ち頂いていたお客さま、はじめてのお客さま、ご来店ありがとうございます。
本日から再び、新たな季節と共に、上質の空間でお届けしてまいります。

今夜のカクテルは”キール Kir”。「最高のめぐり逢い」という意味を持つこのカクテルは、白ワインにカシスリキュールを加えたシンプルなカクテル。
今夜は、このカクテルに相応しいナンバーをご紹介します。
イギリスのSoul系Jazz Popバンド、Sade「Nothing Can Come Between Us」(1988)です。
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シンプルでありながら洗練された深みのあるサウンドで、多くの音楽ファンをもつSade。
このバンドのはじまりは1982年。
ロンドンで結成されたラテンソウルバンド”Pride”で彼らは出会いました。
Vocalのシャーデー・アデュ(Sade Adu)、Sax &Guitarのスチュワート・マシューマン(Stuart Matthewman)、
Bassのポール・スペンサー・デンマン(Paul Spencer Denman)、そして当時のDrummer、ポール・アンソニー・クック(Paul Anthony Cooke)の4人は、”Pride”から脱退しました。
この4人は、”Pride”活動時から音楽的な共通点を見つけ、独自のスタイルを追求するために”Sade”を結成しました。
その後、Keyboardsのアンドリュー・ヘイル(Andrew Hale)が1983年に加入し、バンドの音楽的な幅をさらに広げました。
この出会いが、彼らの成功の基盤となり世界的な音楽シーンでの活躍へとつながっていったのです。

「Nothing Can Come Between Us」は、3枚目のスタジオアルバム『Stronger Than Pride』からのシングルでした。
作詞作曲はSade Adu、Stuart Matthewman、Andrew Haleの3人によって行われました。
この曲はバンド全体でプロデュースされ、特にアメリカのR&Bチャートで大きな成功を収めました。
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ここからは私の考察となります。
”愛と信頼の絆”をテーマにしたこの曲は、以下の特徴をもっています。

ファンクとR&Bの融合
特筆すべきは、全編通して奏でられるGuitarのRiffでしょう。
Funkの要素を取り入れ、リズムセクションが曲全体にグルーヴ感を与えています。
このファンクの要素が、Sadeのスモーキーでシルクのようなボーカルと絶妙に調和しています。

感情を引き立てるアレンジ
曲のアレンジはシンプルながらも洗練されており、Sadeの歌声が際立つように設計されています。
特に、バンド(楽器)の演奏は控えめにサポートされています。
これにより、歌詞のメッセージ性がより強調されるようになります。
極めつけはバックコーラスです。
特にChorusで入る、”Nothing can come”のハーモニーは、この曲の醍醐味と言っても過言ではありません。

ジャズ・フュージョンの影響
曲全体にジャズの要素が感じられ、特にコード進行やメロディラインにその影響が見られます。
先にも触れましたが、Jazz GuitarとBassラインが、曲に深みと洗練された雰囲気を与えています。
曲全体の構成としては、シンプルな構造となっていますが、基本コードとなるE♭mで深みのある雰囲気を出し、A♭mで滑らかさとリズムとの調和、B♭mで曲のストーリーに感情的な高まりを与える役割を果たしています。

この曲は、愛し合う二人の強い絆、誰にも入り込めない強いつながりを詠ったものです。
”信頼・信用・確信”と言った相手への強い気持ちを”Faith” & “Trust”という2つの言葉を使ことによって、主観的な信頼と客観的な強固な二人の強いつながりを表現しています。
これは同時に、愛が持つ「優しさ」と「強さ」の両面を表現しているとも言えます。

それでは、お聴きください。

Sade『Nothing Can Come Between Us』(1988) – Album from “Stronger Than Pride”

2025年の今、この1988年のサウンドが依然として洗練された素晴らしい作品であることを否めません。
そして、VocalのSade Aduは、美しさだけでなく、強さと安定を感じさせます。
プライベートも非常に大切にしているという彼女の持つ内向的な部分と、パフォーマンスから伝わる女神のような強さと輝き、そして、彼女の独特のSmoky VoiceとSadeというバンドの音楽性は、独自性を保つ要素を多分に持ち合わせていると思います。
2011年のライブアルバムを最後に、現在は活動小休止状態となっていますが、多くのファンが彼らの演奏を心待ちにしていることでしょう。
その時まで、これまでの素晴らしい作品の数々を是非お聴きになってみてくださいね。
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さて、今夜も閉店のお時間となりました。
また明日からも、心と身体に寄り添うような音楽をお届けして参ります。
World Music Barはいつもどこかでお客さまをお待ちしています。
This is the place to go when you’re feeling wistful.

(FM Radio “World Music Bar” 当店のラジオ番組もお楽しみください ~ by stand.fm)
Prohibitions 無断転載・無断使用禁止

投稿者

店主

On Bass, Writer, Radio DJ, Health Rhythm Counselor, Life Rhythm Advisor

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