こんばんは。World Music Barへようこそ。
今夜は土曜日。一週間あっという間でした。
本日は、忙しかった日々の心をしっとりと落ち着かせてくれるようなナンバーをご紹介します。
今年51周年を迎える、桜井賢さん、坂崎幸之助さん、高見沢俊彦さんの三人組ロックバンド、THE ALFEEの「夏しぐれ」(1974)です。
この曲は、THE ALFEEが1974年にリリースしたデビューシングルです。
この楽曲は、松本隆さんが作詞、筒美京平さんが作曲・編曲を手掛けた作品で、フォークと歌謡曲の要素が融合した独特の雰囲気を持っています。
当初は、若いメンバーによるフォークグループとしてのデビューを意図して制作されましたが、メンバー自身はその方向性に完全に納得していたわけではなかったとのことです。
デビュー当時、この曲は大きなヒットには至りませんでしたが、後にライブで披露されることもあり、ファンの間で根強い人気を持つ楽曲となりました。
今夜は、歌詞を中心にこの曲について考察してみたいと思います(個人的視点です。ご了承ください)。
1970年代初頭、日本ではフォークミュージックが大きな人気を集めていました。
その影響を受けて、THE ALFEEもデビュー当時はフォークアイドル的な立ち位置で活動を始めました。
「夏しぐれ」はその流れの中で制作され、フォークの柔らかさと歌謡曲的な情緒が融合した楽曲として誕生しました。
作詞の松本隆さんと作曲・編曲の筒美京平さんは、当時すでに日本の音楽界で重要な存在でした。
「夏しぐれ」には松本さん特有の詩的な表現と、筒美さんの緻密なメロディ作りが反映されており、商業的成功を狙いつつも高い芸術性を持つ楽曲となりました。
デビュー曲として「夏しぐれ」を選ぶことで、THE ALFEEの透明感や純粋さを象徴するイメージを確立しようとした意図があったのではないかと言われています。
当時はまだ「ALFIE」という名前で活動しており、若者らしいフレッシュな要素を盛り込んだ形で制作された楽曲でした。
**
タイトルの「夏しぐれ」という言葉には、日本の季節感と情緒が込められています。
「しぐれ(時雨)」は本来、秋や冬の短い時間に降る雨を指しますが、「夏しぐれ」と記すことで、夏特有のにわか雨や夕立の情景を表す比喩的な表現になります。
特に、強く降ってはすぐ止む、移ろいやすい夏の雨をさしています。
そして、この曲の歌詞には、とても美しい表現を随所に見ることができます。
君の置き手紙 また読み返し ふと見る外の雨
乱れ髪のような雨 胸にしみる
”置き手紙”は、この曲の情景では”一方通行な孤独感”を感じさせます。
「夏しぐれ」である突然の大雨が、突然起こる心の戸惑いや迷い、心の乱れを象徴しているのです。
”乱れ髪のような雨”の部分は、”夏の嵐が巻き起こした雨の中、髪に絡む水滴が心の混乱と重なった瞬間”と捉えてみます。
心の混乱は、”迷いや戸惑い”であるともいえます。
この曲が時代を越えて愛される理由は美しい旋律だけでなく、歌詞におけるその感情が誰もが一度は経験する普遍的なものだからであると私は考えています。
どの時代に生きる人も、愛、別れ、喪失、そして新しい始まりに対する思いを抱えています。
それらの感情が「夏しぐれ」のような歌詞を通じて美しく表現されているため、どの世代にも共感を呼び起こすのではないでしょうか。
また、歌詞の中に登場する「雨」や「しぐれ」といった自然のモチーフが、象徴となって感情を包み込む役割を果たしている点も重要です。
自然現象を使った比喩表現は、具体的な出来事を描く以上に、聴く人々の心に自由な想像力を働かせ、それぞれの思い出や感情に重ね合わせることを可能にしていると思います。
それでは、お聴きください。
私が幼い頃初めて父からもらったカセットがTHE ALFEEの曲が入ったカセットでした。
あの頃からずっと変わらず第一線で走り続けるメンバーの姿は、あらゆる世代に生きる活力を感じさせてくれる気がします。
現在のTHE ALFEEのパフォーマンスは、長年の経験と成熟した音楽性が加わり、情感が一層豊かになっていると感じます。
メンバー自身が楽曲に込める思いが深くなり、それが歌声や演奏に表れているのではないでしょうか。
彼らがライブで披露する「夏しぐれ」は、デビュー当時とは違い、歌詞やメロディに込められた感情をより深く表現しているように思います。
特に高見沢俊彦さんの伸びやかな歌声と桜井賢さんの深みのある情感溢れるChorusが楽曲に独特の味わいを加えているのが印象的です。
さらに、現在のライブパフォーマンスでは観客との一体感や、その場の空気感も大きな要素としてバンドの楽曲を輝かせていると思います。
**
ちなみに、私が愛用しているFenderのJazz Bassはベーシストの桜井さんをリスペクトして買いました。
これからも精進し一生懸命練習してゆきたいと思います。
**
今夜も閉店のお時間となりました。
夏まではもう少しですがちょっぴり先取りして、ゆっくりとこの曲をお聴きになってみてはいかがでしょうか?
今夜もご来店いただきまして、ありがとうございました。
Shall we ready for summer? Good night!
(FM Radio “World Music Bar” 当店のラジオ番組もお楽しみください ~ by stand.fm)
Prohibitions 無断転載・無断使用禁止