こんばんは。World Music Barへようこそ。
今日も一日、お疲れさまでした。
週末までの心との身体のエナジーチャージ、当店でごゆっくりお過ごしください。

今夜は、日本のCity Popにおける先駆的な作品をご紹介します。
1979年代後半に活躍されていたシンガー、池田典代さんの唯一のスタジオ・アルバム「Dream In The Street」の中から、Title Singleとして発売された「Dream In The Street」です。
現在、アジアを中心に世界的なJapanese City Popの流行もあり、このアルバムは”名盤”として再評価されています。
池田典代さんは、デビュー前は新宿や下北沢のライブハウス「ロフト」で活躍していたシンガーです。
そこで山下達郎さんと出会い、このアルバムに向けた制作が始まったのです。
この出会いこそが、アルバムの再評価へも繋がるきっかけとなりました。
素晴らしいミュージシャンが集結して制作されたアルバムだったからです。
しかしデビュー当時、時代はまだCity Popブームではありませんでした。
そこで、所属レーベルは戦略的なアイデアで彼女のアルバムの制作を開始しました。
まずは、「レーベルの力と制作方針」です。
池田さんが所属していたOrange House Recordsは、1970年代から1980年代にかけて新しい才能を発掘することに積極的でした。
レーベル側が池田さんの才能に注目し、彼女のデビューを華々しいものにするために、当時のトップミュージシャンを集めたと考えられます。
参加したアーティストは山下達郎さんの他に、ラテン・フュージョン界のレジェンド、松岡直也さんやティン・パン・アレーなどで知られているギタリストの鈴木茂さん、日本を代表するキーボーディスト佐藤博さんです。
山下達郎さんが持っていたネットワークによって、これだけの一流アーティストが集結したのだと思います。
そしてもう一つは、「作品の独自性への期待」です。

アルバム「DREAM IN THE STREET」は、都会的で洗練された音楽性を持つシティポップの代表作として設計されています。
制作陣はその音楽的なクオリティを確保するために、実績のある一流ミュージシャンを起用したという点も大きなポイントだと思います。
池田典代さんのスモーキーな歌声と、都会的なセンスや音楽スタイルがCity Popと呼ばれるジャンル構想にマッチしていたのかもしれません。
この曲は、都会的な風景やエネルギーを感じさせるUrbanな雰囲気が漂っています。
歌詞に描かれる”ショーウィンドウ”や”水たまりに映る雲”、”急ぎ足で通り過ぎる人々”などの描写は、街のリアルな日常を巧みに捉えつつ、その中で生まれる孤独や希望を映し出しています。
それでは、お聴きください。

池田典代『Dream In The Street』(1980) – Album from “Dream In The Street”

この曲の作曲・編曲は山下達郎さんで、作詞は、池田典代さんご自身です。
曲全体を通じて、夜の街の魔法のような魅力や、瞬間ごとに移ろいゆく夢と現実の交錯が感じ取れます。
都会の情景に映るキラキラとした夜の街に儚さや切なさを感じます。
このUrbanな雰囲気があるからこそ、リスナーはその世界に引き込まれ、自分自身の経験や希望と重ね合わせて聴くことができるのだと思います。
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当時の日本の音楽業界は、都会的で洗練されたPopが流行していましたが、アイドルの曲が主流となっており、City Popと呼ばれる独自性はまだ薄かったと思います。
やがて、日本では高度経済成長期を経て、都市化が進み、都会的なライフスタイルが広がっていました。
これが音楽業界にも影響を与え、City Popのようなジャンルが生まれる土壌となりました。
そういう意味で、私は彼女の作品はCity Popの先駆的な存在と言えるのではないかと考えています。
彼女の活動は、このアルバム一枚のみで非常に限定的だったようです。
アルバムは長い間入手困難でしたが、近年ではCity Popの再評価の流れの中で注目され、限定盤やアナログ盤として再リリースされるなど、新たなリスナーにその作品が届いています。
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今夜は、作品とともに時代背景を調べてみました。
この時代の音楽がどのように社会や文化と結びついていたかを掘り下げると、さらに面白い発見ありました。
そこには、都会という舞台に漂う孤独感や動的な日常の中で夢を追いかける人々の内面世界がありました。
そして、”Dream In The Street”というフレーズには、流れゆく時間や街の不変のエネルギーを感じました。
音楽を通して、タイムスリップ。
これからも、お客さまを素敵な時間旅行へお連れいたします。
Let me take you to the nostalgic journey with timeless music through the World Music Bar.

(FM Radio “World Music Bar” 当店のラジオ番組もお楽しみください ~ by stand.fm)
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投稿者

店主

On Bass, Writer, Radio DJ, Health Rhythm Counselor, Life Rhythm Advisor

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